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06年開催講演録他
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第2分科会

■Dooeun Choi(チェ・ドゥイン)氏 韓国

私はアートセンターナビという会社でキュレーターとしてイベントの開発をしています。今日は、メディアアートセンターで、昨年12月に立ち上げたプロジェクトについて紹介します。これはアーティストと一般の人が参加できるもので、特に、一般の女性とどのように出会うことができるかが大切で、常に悩んでいるところであります。  
まず、このプロジェクトは、SMSというフランスの作家がアイディアを出したもので、韓国で実用化したものを使ったプロジェクトです。

道にボックスが設置されている。その中に「世の中に警告するメッセージを送ってください」というメッセージが書かれており、特定の番号をメッセージとして送ると、それがまたボックスの中にディスプレーされる。このボックスがソウル市内のあちこちに設置されているので、一つの質問に対して、同じ場所にいなくてもお互いに問題を共有していくというものです。同時に、このボックス内にはカメラが設置されていて、皆さんの目がカメラにもう一度写されて、道に設置されたスクリーンを通して、またそれを見ることができる。ITカルチャーを利用して、誰かによって監視され、監視する。
広い視野でITがもたらす現象についてコメントをする契機となるものをつくっているのです。

2003年には、韓国も日本も中国もそうでしたが、多くの人が携帯電話を使っています。携帯電話をほかの形で活用することはできないかと考え、コンピューターが休止状態のときに出てくる画像をアーティストと一緒につくってみた。その大賞を受賞したのが、ここに紹介しているライクシルクという作品です。携帯電話の画面がシルクのように柔らかくなるアイディアで、開くたびにこの映像を見て心が癒やされる。コンテンツ、携帯電話をインターフェースとして、都市で新たな人々との結び付きをつくるものを研究し、制作している段階です。もう一つの作品は携帯電話の中に小さな生命体が住んでいるかのような表現で、スイッチを入れるたびに現れて、閉じるとまた眠りにつく。携帯電話の画面は非常に小さいので、作家の非常に興味深いトライがあるわけです。とても短い時間ですけれども、非常に人の興味を引くような、そういった作品をつくっています。

また単に携帯電話で見せるだけではなく、道端に設置されたウインドースクリーンでも発表してみようと、2004年度にボイス・トゥー・ウインドーという作品を発表しました。今ご覧のものは、道端に設置されたスクリーンで映像を一緒に見ながら携帯電話という空間が仮想空間ではなく、実際の空間と結び付く、そういったトライをしたわけです。

その後、Mギャラリー(モバイルギャラリーの短縮SKテレコムで運営する)でアーティストと一緒にモバイルギャラリーを立ち上げ、定期的に作品を紹介しています。オーストラリアやヨーロッパでも、作品は紹介されています。東京のKDDIデザインセンターには中国にも関係するプラットホームと連結する、そういったトライも今進んでいるところです。

面白いクリップをここでご紹介します。韓国ではタトゥー自体が非合法で、携帯電話は常に身に付けているので第2の体だ、合法的に携帯電話のスクリーンでタトゥーをしようという発想から、作家が自らの携帯電話画面に自分の好きなデザインのタトゥーをしようというコンテンツを開発したものです。

このような総合的コンテンツは、シーズンによってコンテンツを変えています。これはクリスマスツリーで、携帯電話という小さな画面では、何か分からないがよくよく見ると、これが手でデザインされている。多くの可能性をまた導き出すことができると考えています。
また、動画だけではなく音声もいろいろあり、現在、アメリカやいろいろなところにサービスを輸出しています。これはベルの音。電話がかかってきたときに、ポップソングとか、さまざまな信号音で呼び出しをするが、作家がつくった呼び出し音、これは韓国的な音を集めて呼び出し音としてつくり上げたもので、皆がダウンロードして使うことができます。

ここまで、コンテンツについてお話しましたが、実はあまりうまく成功していない。使う階層が比較的少なく、インターネットコンテンツとは違い、ダウンロードには費用が発生する。どれだけのひとが、コンテンツをダウンロードするのかというと、韓国の場合、最初は非常に多くのひとが投資をしたが、今収益を上げている分野はゲームとか、成人用ムービー、スポーツという程度。

理由は、インターネットとモバイルでのコンテンツの差別化がなかなかうまくいかないことがあります。また、モバイルでは、使用者が自らコンテンツをつくることに、より関心を持っているということが挙げられます。携帯のカメラがそうです。自分の携帯電話で自分の顔や自分の好きなペットの写真を撮って、それを画面にして持ち歩くことをする。
単にコンテンツを消費するためではなく、むしろコンテンツをつくり出すことのできる新たなプラットホームサービスを提供することが、より重要ではないかと我々作家やスタッフの考えで、今後は、単にコンテンツをつくるのではなく、より進み"コンテキスト"をつくる方向に転換をしているところです。

ラブワイラスというプロジェクトがあります。アーティストがどんなことができるか、また、どのように文化を作り上げることができるかという中から出てきました。
皆さんご存じのブログが今流行しています。ブログ作成者が集まるサイワールドというホームページは1,300万人が使っているサイトで、韓国の人口が4,000万少しなので、1,300万人というのはすごい大きな数字である。若い人たちの大部分が、このホームページの会員です。このホームページを通じて、このラブワイラスというプロジェクトにこれまで3カ月間、5万人ほどが参加しています。作家はコンテンツをプロバイドするだけではなく、人々に写真を送り、その写真を自分の作品として紹介させるとかも行う。ラブワイラスは、どうすればインターネットを通じ人々が出会うことができるかに関心を持ってつくったプロジェクトで、人の顔が変形して、作家の作品として表現されていたりする。

また、オンラインで出会った人が、オフラインで再び出会うというイベントも行っています。最後にご覧に入れるのは、コムナというプロジェクトで、韓国のミョンドンに位置するSTテレコムビルにLDスクリーンを置き、作品を紹介しています。今は人々がインターネットや携帯電話を通じて送ってきた写真や文章をこのディスプレーに紹介する予定でいます。このようにソウルという都市の一つの背景として、マッピングされ溶け込み、スクリーンを通じてそういう背景になっていく取り組みです。

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■中西康浩氏

私のやっているのは、基本はコンテンツが流通するために必要な仕組みを国際的につくっていこうとする活動で、2000年ぐらいから担当しています。広告代理店の電通で企画し、ベンチャーとして2001年に会社をつくり、約5年間いろいろな活動をしています。国内でも、権利のクリアランスをもっとクリアにという動きがたくさんあります。  

ITインフラの普及は日本だけではなく、中国、韓国、それぞれの国で、やはり同時多発的に今起こっている。その中で、コンテンツだけではなくて、コンテンツとクリアランスの仕組みが必要ではないかと考え、2000年に香港に提案に行き、コンテンツをきっちり守るスキームを香港発でやりたいという熱意をいただいた。すぐに2001年に香港に、メロディーズ&メモリーズ香港という会社を立ち上げ、香港から権利処理スキームの普及をスタートさせ、中国本土、シンガポール等々へ広げていき、それから、韓国にも広げていこうという活動をしています。

インフラの状況を資料で説明します。インターネットの普及は、日本がかなり進んでいるだろうと思って香港にいくと、香港も日本を超えている部分がかなりある。さらに、韓国のすごいインターネットの普及、ブロードバンドの普及、携帯電話そのものの普及、それからリッチなコンテンツを展開させ得るプラットホームの普及の土台が、かなり進んでいることが数字を見ても分かる。実際、私も香港、中国、韓国でコンテンツやコンテンツを取り巻く権利処理でいろんな方々とお付き合いしているが、韓国は一番レンジが広く、若い方から年配の方まで、リッチなコンテンツプラットホームを使いこなしている印象がある。

コンテンツがうまく流通していくには仕組みが必要で、日本では権利処理の市場が出来上がってきている。特に音楽に関して、着うた、着メロで約1,000億など。中国や韓国では携帯上でのコンテンツの流通は起こっているが、うまくクリアに権利処理ができていない。そこをお助けするべくシステムのご提案を、中国、韓国でしている。  

最初は、「権利処理のスキームのシステムが欲しい」「するといろんなものがクリアになって、コンテンツが集まってくる」という話しをしたのだが、やはり日本のコンテンツをぜひ持ってきてほしいといわれる。気が付くとコンテンツの商人、アグリゲーションする立場も持たないといけないということがわかり、活動を始めたのがこのJチャンネルという活動である。

Jというのは日本のJというのを表し、3Gの携帯がこれから広まっていく。リッチな映像コンテンツ、インタラクティブコンテンツが日本のコンテンツといわれ、各国で非常に引き合いがある。私はコンテンツをただ単に流すだけではなく、権利処理がきっちりできるような仕組みも一緒にして、それぞれの国の方と話をしている。日本の音楽、映像、ゲームコンテンツなどいろんなものをJチャンネルで提供し、香港でトライアルしているところである。

その中で、音楽、映像面で、日本で引き合いのあるコンテンツからつないでいったが、向こうからは、やはり女性向けのコンテンツが少ない、ぜひ入れてほしいといわれる。日本では、モバイルコマースなど女性向けの携帯コンテンツはかなり出てきていたが、香港、上海でも、東京の原宿の女性がどういった小物を買っているかとか、どういうファッションを現在こなしているかとか、ぜひ毎週情報を持ってきてほしいと言われ、出版社さんと連携をしたコンテンツも提供している。

これは、香港のCSLでサービスを開始して約半年ぐらいがたち、5,000〜6,000人ぐらい会員を募っており、これからどんどん増えそうな勢いがある。画面で、コンテンツをテキストベースで紹介するのと、写真を使って流していく。同時に香港側の受け皿の女性スタッフからも、女性の目線からこういうコンテンツ、こういうものを作ってほしいというニーズ、アイディアも入れて、さらにブラッシュアップしています。  日本のコンテンツの力がどのくらいあるかということと、逆に香港のコンテンツ、中国のコンテンツを日本に出したいというお話も同時にあり、両者の架け橋がうまくできればと思っています。

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■杉田定大氏

私は経済産業省出身で、昔、男女共同参画型社会の担当課長もやっており、女性は非常に大事だと思っており、かつ、どう女性の力を使いながら、我々のGNPを上げていくかをもっと真剣に考えなければいけないと思っています。本当なら、女性がもっと日本社会でうまく活動すると30%ぐらい日本のGNPが高くなるはずだとの試算もありました。  今日は、私は7月1日から、内閣官房の知財戦略推進本部の事務局に出向しているので、その関係の話をします。ちょうど2002年に、小泉首相の強いイニシアチブのもとに知財の基本法が出来上がり、知財戦略本部が出来上がりました。もう既に3回、知財の基本計画というのを内閣として閣議決定して報告をしています。先日、6月10日で第3回目2005年の知財の基本計画を出しました。その中で、コンテンツの取り扱いは、非常に大事なテーマだと我々は認識をしており、特に在来型のコンテンツと、それから新しく出てくるデジタルコンテンツ、この取り扱いをどうしていくのか、流通はどうあるべきか。これは国内流通だけではなくて、海外のマーケットでどう流通させるのか。

また、コンテンツの制作の方が今悩んでいるのが、資金の問題。どうやって資金を調達するのか。例えば、商品ファンドのようなファンドで調達する、あるいは信託のような形で広く一般の方々から資金調達をするとかを考えている。法制度の整備も、行われつつある。  
もう一つ大事な問題は、著作権法上の処理です。デジタルアーカイブ
お問い合わせという、アーカイブ
お問い合わせをどう2次利用、3次利用するのかという議論がある。既存のテレビの番組で、大体少なくとも2,000〜3,000人の関係者の方々の映像権とか著作権等々にかかわる。この権利処理をするのは非常に困難である。先ほど、権利処理をクリアリングハウスで処理をしていくというお話があったが、なかなかこれは難しい問題である。

しかし、新しく出てくるデジタルコンテンツ、携帯に乗せるコンテンツとか、各放送局やプロバイダーが非常に熱心に考えたIT放送に乗せるようなコンテンツ。例えば、15分ぐらいのショートドラマとか、MTVとか、もろもろの15分もののショートな占いコンテンツとか、いろいろある。そういうコンテンツを、もう既に権利処理を十分した上で、単にIT放送だけに乗せるのではなく、DVD化するとか、いわゆるハリウッドがやってきたような、いろいろなメディアコンテンツに乗せて、何度もその中でビジネスをしていくということも考えなければいけない。今、それを映画会社の方々、放送局、IT関係の方々が考えています。

そのために国は何をすべきなのかを議論をしているところです。放送では、著作権上の取り扱いは非常に緩い。しかし、2次、3次利用が逆に難しくなるという問題があり、放送、あるいは通信と放送が融合する中で著作権上の取り扱いをどうするのか、そういうことです。  
もう一つ、日本の放送局で非常に問題なのは、やはり放送局と制作会社の関係。どう業界の中で改革していくのか。映画会社も同じで、映画会社には1割しか入らず9割は興行主にお金が入っていくというような問題がある。

それから、もう一つ大きな問題は、これは、日中韓で少なくとも共有しなければいけない問題、海賊品、あるいは模倣品を、どう駆逐をしていくのかということ。これは非常に大事な問題です。これは『エピソード3』の海賊版だが、中国で大体70円ぐらいで売られている。お互いの国で大事な問題は、模倣品問題だということを最近ハイアールも中国で発言されている。世界でビジネスをするには、模倣品、海賊品をどう駆逐するのかにも、ぜひ日中韓で十分な議論をする必要があると思う。 今、ちょうどヒアリングしているが、IP放送について非常に関心を持たれています。来月から、アップルが日本でもアイチューンのサービスを始めるようだが、99セントではなくて、どうも150円と250円という二つの価格帯でアイチューンのダウンロードサービスを始める。これを見ても分かるように、これから、多分コンテンツのサービスの受け方が、ダウンロードだとかストリーミングというような形で、通信を使ってサービスを受ける。それが音楽であったり、映像であったりという形になってくると思う。そこから、かなりマーケットが変わってくるのではないかと思います。在来型の人たちも頑張るけれども、新しいコンテンツをつくったり流したりする人たちが、日本のマーケットへ出てきて、それがまた海外にスピルオーバーしていく、アジアのマーケットに、当然スピルオーバーしていく可能性は非常に高いのではないかなというふうに思っています。

それから、もう一ついえるのは、従来日本のマーケットが、それなりの規模のマーケットであったので、日本の業界は、日本のマーケットだけで十分だという意識であった。海外に行っても、どうもうまくいかずに帰ってこられていると。これは、現地でのビジネスの難しさが当然あろうかと思うが、もう一度国内のマーケットがこれだけ競争関係になったときには、海外にマーケットを目指していくということも、当然出てくるのではないかと思っています。我々もそれをいろいろな形で応援をしていきたい。  秋に東京映画祭があり、アジアの方々や大臣もお招きして、メディアコンテンツ関係の大臣会合をASEANプラス日中韓でやろうとか、そういう企画もある。いろいろなセミナー等々もやって、我々としても応援していきたいと思っています。

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■谷村昌美氏

まだ日系企業と一緒に、中国のマーケットでのダイレクトマーケティングをITで展開していける方法はという模索が始まったという段階なので、今日の議題の女性であるところだけで申し上げさせていただきます。

私どもも杉田さんに、3年前に「日中ベンチャーフォーラム」という中国IT関連業界視察で、初めて中国に行かせていただき、刺激を受け、以来、ようやく3年が経ち初めて中国側と市場で具体的なことができるような運びになりました。  昨日も私どもの経営会議で、トップが私に、やはり女性だからコンセプト型の経営は無理だと言います。しかし、女性だからこそというか、まずやってみようとか、まず行って、触って、そこの市場を一度体験して、それから一緒に、人間関係をつくりながら展開していこうとするところに、女性ならではのビジネス展開の仕方が出てくるんじゃないかという思いがあります。

私どもが客観的に見た中国のビジネス環境とは、ある意味、閉鎖的で合理主義だと思います。しかしこれまでの中国からの発言にあったように、日本側の社会のほうが閉鎖的で合議主義という見方があれば、だからこそ女性という観点で入らせていただくと、開放的な合理主義というものが、ある意味の大胆さを持って展開していけるんじゃないかなと思われます。

そういった意味で、私も女性の一経営陣として、小さくではありますが、直接的に動かせる市場に入らせていただければと思っています。

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■境 真良氏

私からも一言。P2Pとか、ネット上のコミュニケーションを通してトレンドが生まれてくることは、アジア全体でもう既に一つの流れになっています。日本のコンテンツは、80年代後半ぐらいから、非常にアジアで流行ったが、それをビジネスにするのは、かなり遅れてしまっていた。つい最近やり始めたぐらいです。その点で、韓国は、海外市場に対してとてもアグレッシブに出ていっています。そういった意味で、IT化、デジタル化という力をうまく使って海外市場への取り組みがなされていると思います。

ITを使ったビジネス、基本的にコミュニケーションビジネスです。コンテンツといわれているものも、これもコミュニケーションの一形態になる。そういう意味では、これから私たち、アジアが市場を一つにしていって、より大きな経済発展というのを考えたときに、お互いのことを非常に理解し合って、お互いの中で通用する商品を生み出していくこと。そして、さらに、それを使ってほかの地域へもどんどんビジネス活動をしていくことというのは、とても大事だと思っています。

皆さんは、実際にビジネスの現場におられ、商品開発の現場で活躍されています。今日、パネラーの方々のお話を聞き、こういうアクティビティーをもっともっと進めていって、ぜひ市場を一つにしていくことを期待します。

国ごとにいろんな観点はあるし、思惑もあるが、それを乗り越えて、ITがアジアという一つの市場を作っていくことのきっかけになっていけばいいなと感じました。

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